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  • 執筆者の写真池永敏之

お二人との再会

更新日:2022年8月10日




 私は15年前の8月に20年8ヶ月勤めた会社を退職し、中小企業大学校で半年間の中小企業診断士養成研修を受け、資格を取得後に独立した。大学校の入学試験で面接官から「これだけ長い間お勤めなら、それなりの地位についているはず。会社を辞めたら、部下にやらせていたルーチンワークも全部自分でやらねばならなくなりますよ」と退職を止められた。

しかし一度しかない人生、これまでとは違う世界を体験してみたかったし、部下にやらせるよりも自分でやりたい性分だったので、面接試験に合格後、会社を辞めて入校した。


 独立後に不退転の決意で臨んだ仕事が、集客促進のために商店街組織が行うイベントの実施を助成する補助金の審査業務だ。交付要件は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に基づいて厳格に定められている。これを遵守しつつ、応募のあった4千を超える全国の商店街に計画の実施期間までに書類を審査して助成金の交付を決定し、イベント等の実施後は実績報告書を審査して年度内に助成金を支出しなければならない。厳格な審査の要件をクリアすることと、迅速な助成金の交付という二律背反の課題を抱え、作業はスタート直後から申請書類の不備等が続出して難航した。


 審査は対象となる商店街の地域ごとに4つのチームに分かれて行われ、私はそのうちの1つのチームリーダーを任された。メンバーは多いときで10人を超え、新人に書類の審査方法を教育するのも大変だった。尻に火がついたような状態の私は、毎日始発電車で通い、6時に事務所に入って仕事を始め、夜の8時過ぎまで残業し、土日も出勤するなどしたが、終わりの見えない厳しい状況が続いた。数々の困難を乗り越え、ミッションを達成できたのは、メンバーの彼女たちのお陰だった。


 梅雨だというのに気温が30度を超え、蒸し暑い金曜の午後6時。東京都中央区茅場町のイタリアンレストラン「トラットリア カヤバッチョ」でかつてのチームのメンバーと再会した。Oさんとは2年ぶり、Iさんとは3年ぶりとなる。きっかけは私がブログを始めたことを2人にLINEで伝えたところ、同窓会をしようということになり、Iさんが私の好みに合わせて店を予約してくれた。公私ともに忙しい中を有難いことである。




 Oさんはベージュ色の半袖ワンピースに同系色のマスク、美しく手入れされた爪が印象的。Iさんは白いノースリーブのシャツに白いマスクで、相変わらず年齢よりずっと若く見える。2人とも当時と全く変わらず、素直で明るく、元気だった。


 Oさんはチームの結成当初から加わった。その後メンバーが徐々に増えていくのだが、彼女はその都度、後輩をよく指導してくれた。また、新人の受け入れに当たっては、自身の仕事が忙しい中、率先して机の上や引き出しの中を掃除し、筆記用具や資料を揃えるなど、裏方の仕事もいとわなかった。また、各担当の起案前後に内容を確認して問題を予見・報告してくれ、クレームの発生等を未然に防いだほか、チームがピンチになると、状況に合った具体的な対処法を考え、進言するなど、彼女がいたから最後まで仕事をやり通せたと言っても過言ではない。


 Iさんは素直で人の話を良く聴き誰からも好かれる性格。芯が強く、難しい仕事でも最後までやり遂げた。Oさんと一緒に新人には荷が重い案件を代わって上手に処理してくれた。さらに新人の指導係も気持ちよく引き受け、相手の理解度を確認しながら丁寧に指導してくれ、短期に即戦力の育成が必要な状況下でチームへの貢献度がとても高かった。


 2人に共通する点は、自身の成績よりもチーム全体のことや、対象となる商店街のことを考えて勤務されていたことだと思う。この点で、私を含め3人の仕事観が一致していたことが、困難を乗り越える力になったし、いま、こうして厳しかった当時を振り返り、同じような感慨にふけることができるのだろう。


 懐かしい思い出や近況を語り合ううち、時間が瞬く間に過ぎていった。

 いま、それぞれは違う場所で違った働き方をしているが、仕事への向き合い方みたいなものが共通するような気がして、話していてとても楽しく、名残惜しい会だった。


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