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執筆者の写真池永敏之

災害への「備え」について

更新日:2022年8月10日


 私は昨年度、11階建て2棟、8階建て3棟、2階建て共同住宅12棟、合計174世帯、築43年の団地組合の総務理事を務め、今年度は防火管理者として、また地区の防災会の役員として住民の防災活動を牽引する立場にある。


 今年度に入って私はまず、白井市の危機管理課にお願いして、当地区の人口データを入手した。これによると、15年前と比べ、人口が120人減、世帯当たり人員が3人から2.3人に減り、2人世帯や単身世帯が増えている。住民の年齢も大幅に上がり、70歳以上が121人増、0歳~59歳までが134人減で、少子高齢化が進んだ。65歳以上の高齢者の割合は46.9%と、白井市全体の27.7%を大きく上回っており、介護認定を受けた方が25名いた。


 防災訓練では「安否確認」を行うが、高齢化の進行が著しいことから、この目的を改めて確認してみたい。一つは、倒れた家具の下敷きになっている方がいないか、家財道具の散乱により家から出ることができない状況にある方がいないか、避難が必要な状況で孤立していないかなど、直接の被災を防ぐためである。二つ目は、物資の確保や情報の取得ができないなど、生活の継続や災害関連死などを防ぐために支援が必要な方の情報を把握するためでもある。高齢者の割合が大きい当地区にとって、「安否確認」の重要性が増しているといえる。


 当団地では、住民から世帯台帳を提出してもらい、これを金庫に保管している。しかし、個人情報保護に慎重な余り、世帯台帳が封をされたままで開封されず、要介護者名簿のほか、救護に協力してくれる元警察官・自衛官・消防団、看護師などの支援者リストも作成できず、防災活動における具体的な方策検討や訓練時に活かされていない現状がある。


 16年前に防災会が行ったアンケート調査では、「隣人と安否確認のための連絡先を交換している」と答えた方は、14%と少数だった。住民の中には、「顔を合わせたらあいさつするようにはしているけれど、相手がどこの誰かはわからないので、何かあっても誰も助けられない気がして怖い。高齢者ばかりなのに誰が助けるの、とも思ってしまう」という声も聞かれる。


 6/28の朝日新聞の朝刊の「ひととき」欄に、大阪市にお住いの81歳のご婦人の投稿が載ったので紹介したい。


 5月半ばの土曜の午後11時ごろ、お風呂に入り、さあ上がろうと足を上げた途端、滑って体を思い切り打ち付けた。何度も足を上げようとしたが、痛くてどうしてもバスタブから出られず、のぼせてきて湯を抜いた。時間と共に体のあちこちが痛み出す。もうろうとした頭で思いを巡らす。一人暮らしになって、家の鍵はお隣に預けてある。電話が通じず、ドアには新聞がたまっているだろう。きっと気付いてくれるはず。

 火曜日のお昼過ぎ、「どないしたん」と、お隣さんとお仲間が入ってきた。あっ、助かった。やっとの思いで引き上げてもらうが、足腰が立たない。救急車で病院へ運ばれた。


 私が子供の頃に体験した近所の火災では、真夜中に出火して幼児2人が亡くなった。母親は2人を寝かしつけ、鍵をかけて夜の仕事に出掛けていた。母子家庭なので万一に備え、隣人が鍵を預かっていたら救助出来ていたかも知れない(50数年前の悲しい出来事)。


 東日本大震災では、犠牲者の過半数を65歳以上の高齢者が占め、また、障害者の犠牲者の割合についても、健常者のそれと比較して2倍程度に上ったと推計されている。こうした被災傾向は過去の大規模な震災・風水害等においても共通してみられるものである。このため、災害時に自力で迅速な避難行動をとることが困難な方に対する避難支援等の強化が急務となっている。


 平成25年に災害対策基本法等の一部が改正され、国は災害発生時の避難に特に支援を要する者の名簿の作成を市町村長に義務付け、名簿の活用に関して平常時と災害発生時のそれぞれについて避難支援者(防災会等)に情報提供を行うための制度が設けられた。白井市の危機管理課に問合わせると、防災会には名簿の提供が可能だという。また、防災会が収集した世帯台帳も平常時に開封し、民生委員の協力も得て、要介護者台帳を作成できるとのことだった。


 私は、要介護者台帳等の名簿の作成と適切な活用のほか、隣人同士の互助を促進するための啓発活動もして行きたいと考えている。


 あいみょんの「マリーゴールド」を聴きながら、みんながほっこりと幸せでいられますようにと祈った。


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