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執筆者の写真池永敏之

高齢者の敵!振り込め詐欺

更新日:2022年8月10日


 猛暑が衰えを見せない。午後6時になってもアブラゼミが泣き止まず、耳が騒々しい鳴き声に慣れてしまった。昨日も今日も、午前中から市役所が防災無線で熱中症に注意を呼び掛けている。連日、コロナの感染者数とともに最高気温の予想がニュースで報じられる。


 それに交じってロシアや中国の不穏な動き。ペロシ下院議長が台湾を訪問し、蔡英文総統と会談を行った。中国はかなり前からこれをけん制し、台湾海峡へ空母を派遣し軍事演習をしていたので強く反発するのは必至だ。暑くて不安な日々が続く。


 そういえば昨日、90歳になる水戸の叔母から夜の8時半頃、私の携帯に電話が入った。弟や母のことを言っているらしいのだが、初めは何のことか要領を得なかった。傾聴していくと、私の弟から今日、3~4回電話があった。内容は電車の中にお金の入ったカバンを置き忘れ、鉄道会社に問合わせたが、戻ってこなかった。カバンには従業員の給料200万円が入っており、至急お金を工面しなければならないので、一時的に立て替えて欲しい。ついては、会社の管理センターの者をそちらに行かせるので、その者に200万円を渡して欲しいと言われたというのだ。


 「どこの電車で置き忘れたのか?」と尋ねると、「東京」だという。それなら「なぜ、千葉の母や兄に頼まず、遠い水戸まで電話してくるの?」と聞いたところ、2人とも電話がつながらないのだという。叔母さんはそんな大金を持ち合わせていないと言って電話を切ったものの、声が弟によく似ており、もしも本当だったらどうしようと思って、柏の母に電話したがつながらず、弟の電話番号は知らないので、私に架けたということだった。


 弟がそのような電話をするはずがないので、私が本人に直接確かめ、折り返し結果を連絡すると言って電話を切った。


 幸い弟は帰宅途中で電話がつながり、確認すると、やはり叔母さんには電話していないという。弟は「なぜオレの声だと思ったんだろう?」と不思議がっていた。それはきっと叔母の方から「誰?マサちゃん?」と聞いてしまったので、相手はそれに乗っかって「そう!マサだよ」と調子を合わせたに違いない。オレオレ詐欺の典型的なパターンだ。


 すぐに叔母に折り返し、本人(弟)に確認し、オレオレ詐欺だと分かったと伝えた。それでも叔母は「マサちゃんにそっくりの声だった」と言うので、先方は最初から「マサとは名乗らず、ボクとかオレって言ってたでしょ」「叔母さんからマサちゃん?て聞いたんじゃないの」それで相手が調子を合わせて「そうそう!マサだよ」となったんでしょ。と私は叔母に確認すると、「そういえば!」と納得していた。叔母はとても慌てており、気持ちが動揺しているようだった。犯人はこうした心理を巧みに突き、用意したシナリオ通りに年寄りを操ろうとするのだ。


 最後は電話を切って被害に合わなかったものの、1日に4回も電話を受けており、犯人はもう一押しだったと思っているに違いない。4回の電話の中で、叔母は相手に個人情報を話した可能性が高い。このため詐欺集団のリストに載り、今度は手を変えて狙って来ることもあるだろう。そう考えると90歳の一人暮らしって、いろんな意味で怖いと思った。


 叔母には、今後が心配なので警察に連絡するように言って電話を切った。


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