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  • 執筆者の写真池永敏之

結婚できない男

更新日:2022年8月10日


 日本は、人口に占める高齢者の割合が増加する「高齢化」と、出生率の低下により若年者人口が減少する「少子化」が同時に進行する少子高齢化社会となっています(財務省のHP)。


 内閣府は少子化の原因を「①未婚化」や「②晩婚化」の進展、「③夫婦の出生力の低下」と言い、背景に「A.仕事と子育てを両立できる環境整備の遅れ」、「B.高学歴化」、「C.結婚・出産に対する価値観の変化」、「D.子育てに対する負担感の増大」、「E.経済的不安定の増大等」があると分析しています。


 このうち本ブログでは①の未婚化を取り上げましょう。私の知る50歳を過ぎて独身の男性のパターンは、「ア.農家の長男で家を継いでいる」、「イ.一人暮らしが性に合っている」、「ウ.一度結婚して懲りた」になります。アは、女性から見ると、農家に嫁ぐ=老親との同居、家事プラス農作業、家庭や親族・近隣との付き合いといった負のイメージがあること。また、嫁いでも仕事を続けたい女性にとって、都会から遠い田舎は二の足を踏むからと私は考えています。(農家の皆さん、ごめんなさい。一昔前の私の古いイメージかもしれません) 。


 イは、几帳面で炊事・洗濯・掃除などの家事を苦にせず、さらに自分のスタイルが出来上がっていて、そのペースを乱されたくないので、結婚生活はダメというタイプです。


 私が大好きな「結婚できない男」というコミカルな恋愛ドラマは、2006年7月~9月まで全12回放送されました。この年は「①未婚化」や「②晩婚化」が加速し始めた頃です。主人公の一級建築士で設計事務所を営む信介(阿部寛)は「イ.一人暮らしが性に合っている」タイプです。仕事以外では、一人焼肉や一人ステーキなどの外食や自ら調理した一人の食事、レンタルビデオ(当時はレンタルビデオ屋さんが多くあった)やクラシック音楽を自宅マンションのリビングで一人楽しむなど、独身生活を謳歌しています。しかし、母の育代(草笛光子)から「生きているうちに孫の顔が見たい」と言われると、自分のライフスタイルを貫くことへの信念がわずかに揺らいだりもします。本ドラマは役者を接写する場面が多く、その表情の微妙な変化から視聴者は配役の心の機微を知ることが出来ます。



 信介(阿部寛)のマンションの隣室には、みちる(国仲涼子)が愛犬のケン(フレンチブルドック)と一緒に住んでいます。ある晩、「ケンちゃん、やダァ。やめてぇ」というみちる(国仲涼子)の愛犬とのやりとりを、恋人とイチゃついているものと勘違いした信介(阿部寛)は、当て付けで食後に聴いていたクラシックを大音量で流します。これに対してみちる(国仲涼子)は、壁を叩いたり足で蹴ったりして注意を促しますが、音が下がる気配はありません。


 信介(阿部寛)はと言うと、分厚いステーキを食べた後、牛乳を飲んでいたのですが、急にお腹が痛くなり、トイレに駆け込みます。腹痛は一向に収まらず、トイレから出て玄関の前でうずくまっていました。それを知らないみちる(国仲涼子)は、騒音の抗議のため信介(阿部寛)の部屋の扉をノックしようとしますが、音が止んだので思い止まったとき、ドアの向こうから「うぅぅー」という小さなうめき声。「どうしました?大丈夫ですか」と問うと、ドアがゆっくり開き、うずくまった信介(阿部寛)が助けを求めます。



 救急車に乗った二人は、信介(阿部寛)の妹・圭子(三浦理恵子)の夫・中川(尾身としのり)が副院長を務める中川病院へ向かいます。中川(尾身としのり)は昔からの親友なので、みちる(国仲涼子)を通じて中川病院へ行って欲しいと信介(阿部寛)が救急隊員に訴えたのです。しかし中川(尾身としのり)は夜の街に繰り出しており、病院では女医の夏美(夏川結衣)が待ち構えていました。夏美(夏川結衣)はまず両眼を開いて診察しますが、信介(阿部寛)は「腹が痛いのに何で目を見るんだ」と小さな声で不満を口にします。これに対して夏美(夏川結衣)は「下血があったというので毛細血管をみているんですよ」と負けていない。彼女は、大腸から直腸、肛門までを描いた絵を信介(阿部寛)に見せ、「直腸にウンチが詰まり、無理にいきんだためこの部分が切れて出血したんですよ」と説明しますが、信介(阿部寛)は女医の「ウンチ」という表現に不快な表情を浮かべます。それを無視して夏美(夏川結衣)は、看護師にお尻の中を見る「肛門鏡」を用意させ、ベッドに寝かされた阿部に「お尻を出してください」と声をかけます。信介(阿部寛)は目を丸くして驚いた後、「あっ、良くなった」と起き上がります。夏美(夏川結衣)は、「恥ずかしがることはないんですよ。私は医者なんですから」と信介(阿部寛)を諭しますが、自分の心を読まれた彼はあわてて「何を言ってるんだ。そんなんじゃない。治ったんだ」と言って立ち上がり、歩いて診察室から出ていくものの、腹の傷みから廊下に座り込んでしまいます。偏屈な阿部の態度に夏美(夏川結衣)は検査をあきらめ、点滴を打って一晩様子を見、その結果によって検査方法を考えることにしました。


 以下は話を飛ばして夏美(夏川結衣)の演じる女医のプロフィールを紹介します。



 夏美(夏川結衣)には若い頃に結婚を考えた男性がいました。しかし彼は「家庭に入ること」を彼女に望んだため、医師を続けたいと思う彼女は結婚に踏み切れず、その後は車庫から出ない車のようになってしまったと独白しています。これを聞いていた信介(阿部寛)は「出ないんじゃなくて、出られないんでしょ。サビついちゃって」と、周囲が凍り付くようなひどい言葉を投げかけます。夏美(夏川結衣)はとても傷ついて「私はサビても、腐ってもいません!」と叫んで部屋を出ていきます。


 夏美(夏川結衣)は信介(阿部寛)と同年輩で独身。父親(竜雷太)がしつこく勧めるので、実家が開業医で自らは大学の医局勤務の男性と見合いしますが、結婚後に彼女を束縛するような言動が見られたため断ってしまいます。彼女の私生活は、パチンコをやり、漫画喫茶でマンガを読み、野菜ラーメンを食べ、レンタルビデオ店で借りた映画を自宅で見るという繰り返し。いずれも一人という点では阿部と共通するのですが、夏美(夏川結衣)はこの生活が心地よい反面、独身を続けることへの漠然とした不安も感じています。

 ひょんなことから出会った、偏屈だが背が高く、顔立ちもよい信介(阿部寛)と婚期を逃した夏美(夏川結衣)は、痴話げんかを繰り返しながら最後には結ばれるのか。これが視聴者の最大の関心事ですが、毎回、必ず痴話げんかと思えるようなやり取りが笑いを誘い、視聴者を楽しませてくれます。ネタバレになりますが、最終回では、「これまで私たちは球を相手にぶつけるドッヂボールばかりをしてきました。でも私はあなたとキャッチボールがしたいんです。」と夏美(夏川結衣)が真剣なまなざしで信介(阿部寛)に語り掛け、(好きという)ボールが彼女から彼に投げられます。果たして彼はどんなボールを投げ返すのでしょうか。アマゾンプライムかネットフリックスで視聴できますよ。

※本稿の写真は、アマゾンプライムビデオから引用しました。


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