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  • 執筆者の写真池永敏之

裏番組をぶっとばせ

更新日:2022年8月10日


 私が中学3年生の頃は、コント55号というお笑いコンビの全盛期でした。その看板番組が「コント55号の裏番組をぶっとばせ」です。日曜日の夜8時からはNHKの大河ドラマが高視聴率を誇っており、民放は太刀打ちできない時間帯でした。それをぶっ飛ばそうと始めたのが本番組で、一時は大河を上回る視聴率を取ることもありました。その中で行われる「野球拳」は、観客を舞台に上げて、じゃんけんに参加させる企画で、美人女優がじゃんけんに負けると服を1枚ずつ脱いでいき、最後は水着になるという、ちょっとエッチなコーナーです。子供には見せたくないという親が多く、学校でもこの番組を見ていると口にすると、からかわれるようなところがありました。


 当番組が松戸市文化会館で観客を集めて収録されることを知り、私はコント55号見たさに友達と二人で新京成電車に乗って松戸まで出かけました。会場は満席です。「野球拳」のコーナーになると舞台の真ん中に6畳ほどのスペースが設けられ、その背後にひな壇が設置されました。このひな壇に一般客100人位が座ってじゃんけんに参加します。早い者勝ちだったでしょうか、私たちは素早く舞台に上がり、ひな壇の3段目位の席を確保しました。じゃんけんに負けた美人女優の服はオークションにかけられ、参加者が落札できます。「野球―すーるならー、こういうぐあいにしやしゃんせ♪」と調子のよい音楽と、コント55号の軽妙な進行で会場は笑いに包まれました。


 翌日の月曜日に登校すると、「生徒会の副会長が『裏番組をぶっとばせ』を見に行った」とクラスで話題になっていました。私たちは、テレビにアップで映ってしまっていたのです。噂は学校中に広まり、それから私は「裏番副会長」と呼ばれるようになりました。名付け親は生徒会長のK君です。


(「合格発表」へ続く)


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