中学3年で私はまた生徒会の副会長に立候補しました。その時の演説では、「昨年の落選にめげず、再度、立候補させて頂きました」と捲土重来をアピールし、前年の立候補による知名度とお情けから、晴れて副会長に就任しました。
就任してすぐ、私は大失敗をやらかしました。
昼休みだったでしょうか。私は生徒会からのお知らせを全校生徒に伝えるため、放送室に向かいました。放送室に入ったのは初めてで、音声チューナーやマイク、レコードなどの見慣れない機器を見ると、何だか不安な気持ちになりました。そばには放送部員や顧問のMS先生がいて、緊張感が漂っています。程なく私の話す番となりました。マイクの前に座り、「生徒会からお知らせします」と言った後、頭が真っ白になり、肝心のお知らせ内容が出て来ません。MS先生が目を丸くしてこちらを見ています。全校生徒もどうしたんだと思っているに違いありません。あせればあせるほど混乱してきて、無言でマイクの前にかたまっていました。その後どうなったかを覚えてないのは、ショックが大きすぎたからでしょうか。MS先生はあきれ返ったような顔で「あの時は驚いたよ」と私に言ったことだけが記憶に残っています。
放送事故からしばらくして、私に大役が回って来ました。体育館の竣工式で生徒を代表して挨拶することです。
当校は新設校なので体育館の建築が後回しとなり、私が3年生の時にようやく竣工しました。ついては竣工式を行うことになり、生徒会顧問の先生から生徒を代表して挨拶をするようにと、文例を渡されました。竣工式とは、建物が無事完成したことを皆に披露し、また今まで協力をして頂いた方々に感謝の気持を表す式のことです。文例を真似て原稿を作り、先生の添削を受けて挨拶用の原稿を完成させました。竣工式には市長さんやPTAの会長、市議会議員などの来賓も多く、舞台の後ろには日の丸が掲げられ、厳かな雰囲気が漂っています。その中で私は演台の前に立ち、舞台照明の熱い光に照らされながら、堂々と挨拶しました。原稿を読むだけだから、失敗の仕様がありません。しかもその原稿は先生の添削を受けたものです。この時、先の放送事故の原因は「原稿がなかった」せいだと気づきました。
(「受験競争」へ続く)
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